施設の特徴としましてはパノラマ天空風呂から見渡す広い空と四季折々の山々や近くを流れる由良川を眺めたりと、時間を忘れてゆっくりと過ごせそうな造りとなっております。源泉は少量の自墳温泉ですが、水位変動が激しく、またガス含有量もかなり多い源泉で、玄人泣かせの源泉でした。

　弊社ではポンプ能力636.6mの全揚程を持ち、またガス対策として井戸内のガス除去装置のガスセパレータ３段を搭載しました22ｋWの“OPDHG6T-50-22-38/3”を地下554.6mに据付ました。
　また、水圧を利用してガスの気泡を小さな状態で汲上げる為に、電極位置の調整、監視目的の水位センサーの据付、流量計の取付、等　当社の長い経験を活用できた源泉でもありました。

　ポンプ据付時は10月29日ではありましたが、大陸からの低気圧がやってきており、小雨の中での据付工事となりました。また、ゼネコン様の工事と同時進行でしたので、限られた作業スペースの中での工事となりました。温泉の水中ポンプを地下554.6mの位置に据付た訳ですが、ここで活躍しましたHZCM-FRP-Pipeのご紹介をさせて頂きます。

　近年、温泉井戸にはFRPパイプがよく使用されるようになってきました。いままでは海外製FRPが主流で長さも9m前後となっておりました。
　弊社では日立造船グループの日立造船コンポジットマテリアル㈱社製のFRPを採用しております。このFRPの最大の特徴は大阪で生産されており、長さ（有効長）が最大9.5ｍ迄であれば、自由な長さで従来と比べ短納期で製作が可能というところにあります。

　今回は据付スペースに限りがある為に4.7mで製作、１１８本を源泉内に据付ました。
　地下554.6m据付という事でよく源泉内の重量のご心配をされる方がいらっしゃいますが、今回の源泉内の吊下総重量は約3ｔ強でこのFRPの定格軸力は50Aで6tなので全く問題がありません。また同様に清水井戸もこのFRPを使用しまして据付が完了いたしました。

　源泉ポンプを据付、最後に温泉付随ガスを除去の為のインラインガスセパレータを据付、作業完了となりました。ガスセパレータ流入前はガス濃度が濃すぎて測定不能でしたが、ガスセパレータ通過後の測定値は1.5%LELと基準値以下の値でした。（法令基準値は５％LEL以内）